一途に IYOU〜背伸びのキス〜
「咲良、この椅子はひとり用だから」
「知ってる。でも椋ちゃんの機嫌が直したかったから」
「機嫌って……」
「あと、やきもち焼いてる椋ちゃんが可愛くて、嬉しくて我慢できなかったから」
正直に白状すると、椋ちゃんはふっと笑って「肉食系女子だな」とあたしの事を位置づける。
肉食系と言われれば確かにそうかもしれない。
間違っても草食系ではないし。
椋ちゃん相手なら肉食でしかも大食漢の自信がある。
「肉食系だと嫌? ひいちゃう?」
椋ちゃん自身が肉食には見えないだけに、嫌われたらどうしようと不安になって聞くと、椋ちゃんは微笑んで私の腰に手を回した。
「俺にだけ肉食なら問題ない」
「じゃあ、問題ない」