一途に IYOU〜背伸びのキス〜
あたしの望みは、椋ちゃんが気持ちよく仕事をできる環境をあげたいって事のみだ。
だから、例え先生がまたあたしに何かしてきても、我慢できる。
だけど椋ちゃんは、その事できっとまた自分を責めるから。
だったら、先生に大人しくしてもらうしかない。
どんな手を使ってでも。
「今、近くまで行くから待って」
そう告げてから近づくあたしに、先生がはっと顔を歪めて笑う。
「おまえの誇りの彼氏をバカにした俺が許せないから殴るつもりか?」
「殴って全部が解決するならとっくにそうしてる。
でも先生は多分、殴ったところでどうにもならないから……違う方法にしようと思って」
「なに、色仕掛け? それで俺に黙れって?」
あたしが何をするのか、楽しそうに見ている先生の前で足を止める。
そして、じっと見つめてから床に膝をついた。
両手をついて頭を下げたあたしに、先生の戸惑う声が落ちてくる。