一途に IYOU〜背伸びのキス〜


数十分でも何時間でも。
どんなに足が痺れたって頭に血が上ったって、先生から分かったって言葉を聞き出すまでは倒れるまでこうしててやる。

椋ちゃんやパパに後で怒られるのだって承知の上だ。

立場のないあたしの土下座なんて何の意味もないのかもしれないけれど、誠意を表す方法がこれしか見つからなかったから。
精一杯の気持ちを込めて、頭を下げ続けた。

そんなあたしのただならぬ覚悟が伝わったのか、先生はかなり早い段階で口を開いた。


「分かったから、もう頭あげろ」


時間にしてまだ一分足らずだ。
それなのにあの先生がもう白旗を上げるなんて事があるの?
……罠?


「……頭を上げた瞬間、上から顔を踏んだりしない?」
「しねーよ! バカじゃねーの」


本当だろうかと疑いながら恐る恐る頭を上げると、顔をしかめた先生がこっちを見てた。
踏みつぶされる気配は今のところない。



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