一途に IYOU〜背伸びのキス〜


「食べたいって言ってたよな? 俺の作るコンビニデザート」
「あ、うん」
「食べたいなら、おまえの彼氏に全力で仕事するように言っておけ。
俺も全力をぶつけるから」
「うんっ」
「今回の仕事成功させて、数年後には、うちの会社の名前をスイーツ業界に知れ渡らせてもっとデカい仕事もできるようにする」
「うん……?」


急に将来のビジョンを語りだした先生を不思議に思いながら見ていると、そこまで言った先生がニっと自信ありそうに笑う。


「だから、おまえたちの結婚式のウエディングケーキはうちに頼めよな。
砂糖と塩間違えて盛大な嫌がらせしてやるから」
「……それ、分かってて頼むとかもうバカじゃん」
「絶対俺に頼めよ。あと……絶対に別れるな。
そうじゃなきゃ認めねーからな」


なんでそんな事を言われなくちゃいけないのかは分からなかったけれど。
あまり嫌な気持ちでもなかったから、真剣な瞳に笑顔を返した。



< 327 / 342 >

この作品をシェア

pagetop