一途に IYOU〜背伸びのキス〜


椋ちゃんの言葉に心底安心してしまって、とにかくよかったーって気持ちでいっぱいになりながらも、できれば私が卒業する二年後までこっちにいてくれる方法がないものかと思う。

だから、企画を大成功させて第二弾が出せれば椋ちゃんもずっとこっちにいられるんじゃないかって話をしたら、そう簡単じゃないって笑われちゃったけど。

でも、できる限り頑張るよと椋ちゃんが言ってくれた。

きっと成功するに決まってる。
だって、椋ちゃんと先生がタッグを組むんだから。

売れ行きが悪かったら、あたしがお小遣い全額はたいて買い占めるしパパにも協力させればいい。
パパの半分のお小遣いを椋ちゃんと先生が開発したデザートにつぎ込まさせれば――。


「――誠吾くんに土下座したらしいな」


椋ちゃんちで先生が作ったケーキをおいしく食べた後家に帰ると、玄関を開けた途端に、仁王立ちしているパパに言われる。

きっと椋ちゃんの車の音を聞いてすぐにリビングから飛び出して玄関で待ってたんだ。



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