一途に IYOU〜背伸びのキス〜


先生に聞いたんだか知らないけど、土下座の一件をどうしても話したかったらしい。


「したけど何」


悪い事をしたとは思ってないから、正々堂々とそう答えて靴を脱ぐと、「おまえはなんでそうすぐ突っ走るんだ」と困っているような声色で言われる。


「突っ走った事は確かかもしれないけど、今回はちゃんとよーく考えてから走り出したもん」


リビングのソファに座りながら答えた私を追うようにして、パパも向かいに座る。
その顔は困り顔というか、呆れ顔だった。

眉尻が下がってる。


「言っておくけど、パパには迷惑かけてないでしょ。先生だって納得してくれたし、椋ちゃんとの企画もきちんとしてくれるって話だったもん」
「だからってまだ高校生の咲良に土下座させるなんて……パパは情けないよ。
咲良のためだったらパパだって手を貸す事くらいできるんだから、もう少しパパを頼りなさい」


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