一途に IYOU〜背伸びのキス〜
「提携してる会社の息子さんなんだけどな、これが結構カッコいい子で、年も咲良と近いしって事で親同士で盛り上がってて……」
「だからしないってば。
親同士で盛り上がってるだけならいいけど、こっちまで巻き込まないでよ。
大体、仕事のために子供を差し出すとか、なにそれ。ワイロ?
大企業のトップなんだから、社員のためにももっとプライド持って仕事してよ」
「……荒れてるなぁ、咲良。
葉山くんと何かあったのか?」
間髪入れずに言い返してると、ため息をついたパパが核心をつく。
まぁ、今日はみっちゃんにも櫻井にさえも、核心つかれたけど。
あたしが落ち込むのなんて、椋ちゃん関係だけなんだから、誰でも分かる問題なのかもしれない。
「……別に。
また、勝手に思い込んで行動して、勝手に空回りしちゃっただけ」
「昨日の誕生日の事か?」
「……さぁ。とりあえず、お見合い話は断わるから」
そう言って、リビングを出ようとして……。
パパを振り返った。