一途に IYOU〜背伸びのキス〜


「だったら、あたしだってパパを見習って愛情の深さを椋ちゃんに見せるべきじゃん」


ピーピーって音がしてキッチンを見ると、ママが本日2回目の焼きたてパンを持ってくるところだった。

パン作りって、発酵させたりする時間があるから、結構時間がかかるのに。

……ママ、何時から起きてるんだろう。


「また、くるみパン?」
「そう。昨日買った本においしい作り方が載ってたから。
どう? パパ」
「ああ、おいしいよ」
「よかった。じゃあ咲良、これ、葉山くんにも届けてあげてね。
今から出れば間に合うでしょ?」
「え、いいの?」


驚いて見上げると、エプロン姿のママがにこっと笑う。








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