一途に IYOU〜背伸びのキス〜


「咲良が会いたくてウズウズしてるの分かるもの。パパの子だものね。
気をつけて行くのよ」
「ありがと、ママ!」


満面の笑顔で言ってから……嫌な視線を感じて、パパをちらっと見る。


パパ、ふてくされてる。
いい大人なのに。
社長のくせに。


「咲良はパパよりも葉山くんの方が大事なのか」
「だってパパは追いかけなくてもあたしを思ってくれるから。
だから、あたしは安心して椋ちゃんのところに行けるんでしょ」
「……うまくなったな、咲良」


諦めたように笑ったパパに笑顔を返してから、部屋に戻る。

学校の準備をして、ママにパンを受け取ってから家を飛び出した。







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