一途に IYOU〜背伸びのキス〜
椋ちゃんの家までは、車で5分。
歩きだと15分くらい。
ケータイの時計は、6時45分。
椋ちゃんは7時半に家を出るから、少しは一緒にいられる。
スキップしたい気分だったけど、速度優先で走って向かう。
走り続けたら結構疲れて、椋ちゃんの部屋の鍵を開けた時には、息が完全にきれてた。
「咲良?」
靴を脱いでから玄関にしゃがみ込んでると、リビングから椋ちゃんが顔を出す。
Yシャツに着替え終わってるところを見ると、これから朝ごはんみたいだった。
「こ、れ……ママが……」
たった10分で会話できないくらいに息がきれるとか。
ちょっと運動不足すぎかもしれない。