一途に IYOU〜背伸びのキス〜
誕生日、椋ちゃんが誰と会ってたのかは分からないまま。
正直、すごく気になってるし、勝手にイライラもしてるけど……。
怖くて聞けなくて。
椋ちゃんの気持ちがあたしにない事は、自分でも分かってるから。
だから、見えないライバルを敵視するよりも。
自分自身を磨いて、必ず椋ちゃんをゲットする方を優先する事にした。
パパに負けないくらいの情熱と根性で。
パパみたいにスマートにできないから、がむしゃらに頑張るしかできないけど。
「咲良、早く来い」
「うん」
いつまでもしゃがみこんだままのあたしを振り返って、椋ちゃんが呼ぶ。
きっと、大丈夫。
あたしの突っ走り具合は、パパ譲りなんだから。