一途に IYOU〜背伸びのキス〜


櫻井が完全に勘違いしてるのが顔つきで分かった。
顔色悪くなって、笑顔引きつらせてるし。

……ナニを全力で潰されると思ったのかは、想像がつくけど。


櫻井は、あたしが痴漢をそうやって撃退してるのを想像して青くなってるのかな。
っていうか、あたしにそんな野蛮な事ができると思ってんのかな。

だとしたら、かなり失礼な話なんだけど。


みっちゃんは青ざめた櫻井を見て、楽しそうに笑う。
そして、ひとしきりそうした後、「冗談だから」って、櫻井のお腹あたりをポンって叩いた。


「また、飽きもせず葉山さんの話をしてただけ。
もしもライバルが現れたらどうする?って話」
「ああ、そういう事か。……びびった」


はーって息を吐いた櫻井。

顔色がよくなっていくのを眺めながら食べてると、櫻井の視線がくるみパンに止まる。









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