一途に IYOU〜背伸びのキス〜


「なに、この大量のパン。……もしかして咲良の手作り、とか?」
「ううん。ママの手作り」
「……なんだ。咲良が作ったんじゃないんだ」
「うん。だから味は保証できるけど。食べる?」
「あー、じゃあ、1個もらうかな」


少しガッカリした顔をした後、櫻井がパンを手に取る。

櫻井がガッカリする理由は分かってるから、あえて何も言わなかったのに。
みっちゃんが余計な口を挟む。


「咲良の手作りじゃなくて残念だったねー。
っていうか櫻井、咲良のどこがそんなに好きなの?」


それは、友達としてどうかと思う言葉。

だってそんな聞き方、あたしにいいところが1個もないみたいに聞こえるし。

苦笑いしながらパンを頬張ってると、櫻井が言う。






< 60 / 342 >

この作品をシェア

pagetop