一途に IYOU〜背伸びのキス〜
「遠慮とかいいってば。
立場なんか関係なくママに手を出したって、言っていいよ。
パパがママにぞっこんなくらい、バレてるんだから」
「待ちなさい、咲良。
“手を伸ばしたか”って話だろ。“手を出した”じゃ、人聞きが悪……」
「どっちだっていいよ。結果同じじゃない」
睨むように、見上げながら言う。
パパは困った顔して、半ば呆れて笑ってるけど。
でも、悪いのはパパだ。
だって娘の目から見てもラブラブだって分かるくらいなのに。
ママの誕生日にはベッタベタに、赤いバラとか毎年贈っちゃうくらい好きなくせに。
なのに、あたしの欲しい答えをくれないパパが悪い。
“例え、ママの方が偉くても。
立場なんか関係なく、ママに手を伸ばした”って言ってくれないパパが悪い。