一途に IYOU〜背伸びのキス〜


「咲良。さっきの話だけどな。
パパは、もしかしたら立場を気にして、足踏みするしかできなかったかもしれない。
けど、パパと葉山くんは違うから」
「……さっきも聞いた」
「人は、見た目じゃない。冷めて見えても、意外と熱い事もあるよ。
それに、咲良は可愛いし魅力的だ」
「……ありがと」


ため息をつきながら手をふる。


パパの“可愛い”は、まさに子供に対する褒め言葉。
……みんなして、子供扱いするし。


その度、椋ちゃんとの違いを思い知らされてる気持ちになって……。
へこむ。


はぁ、って、ここにきて何回目か分からないため息をついて、出入り口の自動ドアに向かう。

まだ、視線がチクチク痛くて、それも憂鬱な気持ちを後押ししてた。







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