一途に IYOU〜背伸びのキス〜


「じゃあ……帰るかな」


せっかく会えたんだから、もうちょっと話していたいけど。
これ以上、椋ちゃんに変な疑惑が掛かるのは、絶対にイヤ。


「仕事、頑張ってね。椋ちゃん」


そう思ったから、笑顔を作って背中を向けたのに……。
ぐって腕を掴まれて止められる。

振り向けば、真剣な顔をしてる椋ちゃんと目が合った。


「椋ちゃん? どうかした?」
「本当に社長に用事があったんだよな?」
「え、うん。そうだけど」


なんでだか顔をしかめてる椋ちゃんを、不思議に思いながら見つめ返す。

あたしの気持ちを探るみたいにじっと見つめてくる目。

ドキドキしながらも見つめ返してると、椋ちゃんが聞く。







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