一途に IYOU〜背伸びのキス〜


「高校で、いじめられてるわけじゃないよな?」


小学校の時にあった、いじめ。
それが、椋ちゃんの中ではかなり印象強いみたいで。

風邪で学校を休んだり、早退してきたり。
そのたびに、こんな風に何度も心配された。


言葉ではそっけないけど、本当は優しい椋ちゃん。

甘やかされてるのが分かるから、もしかして……なんて。
上手くいく可能性を期待しちゃうあたしの単純でポジティブすぎる心も考え物だ。

椋ちゃんの優しさは、“妹”に向けるような感じなんだろうけど……。


「ねぇ、椋ちゃんにとってあたしって……」
「――あれ、葉山さん。今から外出ですか?」


話しかけてきたのは、くるっくるのパーマをかけた女の人だった。

多分、20代前半。
……キレイな人だと思う。








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