一途に IYOU〜背伸びのキス〜
「じゃあそろそろあたしにも分かるかな。17才になったし。
結婚できる歳になってから、もう一年もすぎたんだよ」
椋ちゃんが困ったように笑った。
『あたしを椋ちゃんのお嫁さんにしてね』
そうプロポーズしたのは、10才の時。
小学生からのプロポーズを受けて、椋ちゃんは微笑むだけだった。
すごく優しくて、あたしをとろけさせるようなほわほわした微笑み。
あたしの大好きな笑顔。
椋ちゃんと一緒になるためだったら、どんな事でも頑張れると思った。
例え、10才の歳の差があっても。
例え、どんなイケメンに溺愛されても、芸能人に逆ハー状態にされても。
例え――。
誰に反対されても。
何があっても。
ガッツなら、誰にも負けない。
椋ちゃんの隣は、絶対に勝ち取ってみせる。