一途に IYOU〜背伸びのキス〜
「羨ましい?」
「そこまで頑張ってる咲良見てると、本気で恋愛してる感じがしてすがすがしいし、応援したくなるもん。
……どうしょうもなく、救いようもなく可哀想にも思えるけど」
絶対あたしを傷つけるつもりにしか思えないみっちゃん。
また苦笑いしながら、ふわふわになった髪に指を絡めた。
「分かってるんだけどね。
こんな事しても、椋ちゃんはあたしを恋愛対象には見てくれないって」
年の差も、社長の娘って事も関係なしに。
悲観的になるのは嫌いだけど……それはこれからも多分変わらない。
七年間追っかけてきて、少しも振り向いてもらえない事が何を意味するのか。
そんな事くらい、あたしだって気付いてる。