一途に IYOU〜背伸びのキス〜


それでも追いかけ続けているのは、ただ、椋ちゃんと過ごす時間が好きだから。
他のどんな時間とも比べられないくらい、心が満たされる時間だから。

多分、ダメなんだろうな。とか。
そう思う事はあるけど。

椋ちゃんが許してくれる限り、追いかけたいし、一緒に過ごしたい。
それで、いつか振り向いてくれる事があったりしたらいいなぁ、なんて。

だって、うまくいく可能性0%の恋愛なんて、ありえないもん。
0って思った時点で、そんなの捨て勝負だ。

だから、そうならないように、いつも少しだけ期待してる。

可能性を見出せなきゃ、いくらあたしだって頑張れないから。


「葉山さんって、本当に咲良を恋愛対象に見てないの?」
「え?」


サッカー部が練習してる、グラウンド脇。
威勢のいい声が飛び交う中、みっちゃんが難しそうな顔して言う。







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