一途に IYOU〜背伸びのキス〜
子供にでも言うような話し方だった。
挑発されてる。
それが分かって顔をしかめると、女の人が続ける。
「私もね、葉山さんいいなぁって思ってるの。
だから、邪魔しないでくれる?」
「邪魔って……」
「ただでさえ、飼い猫が大切みたいで毎回誘いを断わられてるんだから。
こないだだって、せっかく一緒に飲みに行ったのに、途中で“飼ってる猫が心配だから”って帰っちゃうし。
その上、咲良さんみたいなのがいるとすっごく邪魔なのよね」
「こないだって……椋ちゃんの誕生日の日?」
「ああ、確かそう言ってたわ」
「ふたりきりで、会ってたの……?」
震える声で聞くと、女の人が少し間を開けてからニコって笑った。