一途に IYOU〜背伸びのキス〜


「咲良! なにやってるんだよ。
今、外で女子高生が騒いでるって聞いて、もしかしたらって思ったけど……」
「――椋ちゃん」


あたしの肩を持って、自分と向き合わせた椋ちゃん。
言い終わらないうちに呼んで見上げると、椋ちゃんは顔をしかめた。


「椋ちゃんは……この人と付き合ってるの?」


驚いた顔をした椋ちゃんが、あたしの後ろを見る。

女の人とアイコンタクトでもとってるみたいだったけど……すぐにあたしに視線を戻した。

そして。
「ああ」って、頷いた。



目の前が、真っ暗になった気がした。







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