一途に IYOU〜背伸びのキス〜
「あたし……、バカみたい。
ずっと追いかけちゃって、バカみたい……」
やっと嘘ばかりつく口が止まって……。
真っ暗だった頭の中が、悲しさとか切なさとか。
苦しさでいっぱいになる。
「ホント……バカ……」
目を伏せて、口だけで笑う。
意識して笑顔を作っておかないと、すぐにでも泣き出しちゃいそうだった。
少しの沈黙があってから、ゆっくりと椋ちゃんを見上げる。
視線に気づいた椋ちゃんが、あたしを見る。
勝手に、くしゃって歪みそうになる顔を必死で堪えながら、椋ちゃんを見つめた。
喉の奥の方が痛い。
痛くて痛くて。
立ってるのもやっと。
息するのも、やっと。