一途に IYOU〜背伸びのキス〜


「初恋は、実らないとか言うもんね。
あたしの初恋も……実らないんだよね?」


困らせるだけだって分かってるのに。
大人ぶって笑顔で立ち去れるほど、気持ちに嘘がつけなくて……。

迷惑だって分かってるのに、だんだんと気持ちがあふれ出してきちゃって、止められない。

こんなの、子供がだだこねてるみたいでイヤなのに。

止められない。


椋ちゃんの瞳が、少しだけ歪む。
けど……すぐに真顔になった。

まるで、感情をなくしたみたいな、そんな顔。

それが寂しくて……ぐっと唇を噛んだ。


「椋ちゃんが……この先、あたしを好きになってくれる事はないの……?」








< 99 / 342 >

この作品をシェア

pagetop