硝子の破片
本人が主張しているように、レイプではなかったのかもしれない。


菜々子は涙で瞳を濡らす程、快感の波に溺れていたのだ。


嫌、そんなはずはない。


正樹はかぶりを振った。


そうした後に、身体を頭の先まで湯舟に沈める。


合意の上でのセックスだなんて、絶対に認められない。


現に、菜々子は他に恋人がいた。


正樹の知らないところで、祐樹と付き合っていたのだ。


菜々子、と正樹は心で呟いた。


少しばかり逆上せているのか、ぐるぐると様々な思考が廻っては消えていく。


俺には君の本心がわからない。


嫌、君の本性といったほうが正しいだろうか。
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