硝子の破片
計画通り、正樹のプライドを粉々にすることにも成功した。


菜々子と祐樹が付き合っていたことについては、誤算だったとしか言いようがない。


てっきり、菜々子は正樹に惚れているものとばかり、思い込んでいた。


祐樹を傷つけるつもりはなかった。


その後、何度も激しい後悔に押し潰されそうになった。


祐樹は四つ年上の兄貴だった。


将来は父親と同じ教職に就きたいと言っているような男で、正義感が人一倍強く、誰に対しても平等に振る舞い、母親の連れ子だった春樹、つまりは血の繋がらない弟を実の兄弟のように可愛がってくれた。


その兄貴を陰で裏切っている自分。


だが気持ちを抑えることは出来なかった。
< 19 / 25 >

この作品をシェア

pagetop