硝子の破片
だがあの男に対してだけは怒りをぶつけた。
奴の胸倉を掴み、『オマエが殺したんだ』と言い放ってやった。
あいつは反論して来なかった。
生気を失った顔で、『そうだな』と呟いただけだ。
それから間もなくして、あいつは実家を出た。
菜々子の前からも姿を消し、親父だけは連絡を取り合っていたようだが、正樹の知ったことではなかった。
可哀相なのは菜々子だ。
彼女はみるみる窶れていった。
正樹は懸命に彼女を支えた。
取り乱して泣いている夜も、手首を切り病院に運ばれた時も、必死に慰め続けた。
もちろん、下心がなかったと言えば嘘になる。
彼女の細い肩を抱きしめながら、その意志に反するように、勃起していたのだ。
奴の胸倉を掴み、『オマエが殺したんだ』と言い放ってやった。
あいつは反論して来なかった。
生気を失った顔で、『そうだな』と呟いただけだ。
それから間もなくして、あいつは実家を出た。
菜々子の前からも姿を消し、親父だけは連絡を取り合っていたようだが、正樹の知ったことではなかった。
可哀相なのは菜々子だ。
彼女はみるみる窶れていった。
正樹は懸命に彼女を支えた。
取り乱して泣いている夜も、手首を切り病院に運ばれた時も、必死に慰め続けた。
もちろん、下心がなかったと言えば嘘になる。
彼女の細い肩を抱きしめながら、その意志に反するように、勃起していたのだ。