悪魔が笑うから


そんな彼を目で追いかける私も私だ。

髪型チェックも兼ねてトイレの個室に入った。


サイドに結んだ髪をピンで整えて、気がついた。

一個、足りない。

さっきぶつかったときに落としたのかな。

私はさっきの場所に引き返した。



「・・・ない」



廊下の隅っこにも、ない。

教室にも、ない。

じゃあ、どこに?

数え間違い?



「大音」



名前を呼ばれた。

間違えもしない、長谷川 瑛の声。


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