悪魔が笑うから
私は自分の席に座って、チャイムが鳴るのを待った。
「ねぇ、さっきの何だったの!?」
後ろの席のユナが話しかけてきた。
「長谷川と話してたでしょ。珍しいじゃん、あいつがクラスメートと話すの」
「ピンを届けてくれただけだよ」
「え!?あいつが!?」
「義務、だったけど」
ユナは一瞬意味が分からないという顔をしたが、まもなく落胆した。
「そうかぁ、残念」
悪魔が善意に目覚めたのかと思った、と失笑した。