HAPPY RING
 そうしてにやけてるとぴたっと和沙が立ち止まった。

「和沙……?」

「…あのさ…ここんところ一緒にいてやれなかったから…どっか行こうぜ?…そうだなぁ~…海の近くの水族館でも行こうぜ~?」

 それってデート?

 久しぶり…だよね?

 3か月ぶり…かなぁ?

「でも…仕事は?」

 ほぼ毎日仕事がある和沙。
 あたしのために休みとるのって無理でしょ?

「…そんな年中仕事してるわけじゃねぇよ…。優のために予定を空けるぐらいできるよ?」

「…ありがと!」

「じゃ、12日にでも行こうか?俺もオフだから」

 6月…12日?
 あたしの誕生日…。

 和沙は知ってて言ったのかな?
 
 …なわけないかぁ。
 和沙が気付くわけない。

 だって誕生日プレゼントもらったことないもの。

 偶然よね…。

「じゃ、12日はデートしようか」

「…デート…なの?」

「…ったりまえだろ…。ふたりで出かけるとしたらデートだろ?」

 デートだと思って言ってくれたの?

 そう思うとドキドキしてきた…。
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