アナタがココにいてほしい

◆アパート

ハルについて行くと
そこはハルのアパートだった。

「え、ここ・・」

ユキは声にならない声でつぶやいた。

ハルはユキのことを見て微笑みながら
アパートの階段を登った。

「こっち」

ユキは辺りを見回しながらハルの後をついて階段を登り
ハルの部屋の前へ来た。

ハルが扉に手をかけ
ゆっくり開くと中はひんやりと涼しかった。

ハルがお先にどうぞと
ユキを中に招く。

部屋の奥へ進むと
そこはあの日初めてユキとハルが愛しあったあの部屋だった。

ユキは部屋中を見渡して
未だになにが起きているのか理解できていなかった。

ハルが側のイスに腰掛けて
ユキにも座るようにすすめる。

それでもユキは立ったままハルに問いかけた。

「全部・・説明して」

ハルは黙っている。

「黙ってないで！・・なにが起きたの？意味がわからない」

ユキは少し大きな声でハルに言った。

それからようやくハルが話し始めた。

「どこから話そうか」

「全部！なんでいなくなったか・・説明してほしい」

「わかった。とりあえず・・座れよ」

ユキとハルは久々に会話をしている。

ひんやりとした懐かしいハルの部屋で。

ユキはハルの正面に座り
ユキはハルの目を離さずにじっと見つめていた。