アナタがココにいてほしい

◆春が来ない

ユキとハルはケンカをすることもなく
順調に付き合っていた。

夏が過ぎ
秋が来て
すぐに冬になった。

ユキは冬を待っていた。

ハルのあたたかい手を握り
寒い街を歩くのが好きだった。

相変わらず二人で音楽の話ばかり交わして
CD屋へ行ったり
ライブへ行ったり
仲良くやっていた。

クリスマスが過ぎ
年を越して
バレンタインも二人で過ごした。

冬も終わりが近づいていた
2月のことだった。

大学は春休みに入っても
ユキとハルはこまめに連絡をとっていた。

しかしある日
突然ハルと連絡が取れなくなったのだ。

ユキは借りていたCDを返したいから
今から行ってもいいかと電話をした。

しかしハルは電話に出なかった。

一度や二度電話に出なかったことは
これまでにも何度かあったから
ユキはとくに気にもかけなかった。

でもその日は何度電話しても
ハルは電話に出なかった。

「突然バイトでも入ったのかな・・」

ユキはそう思うしかなかった。

それにしても、一言メールでもなんでもしてくれればよかったのに。

そう思っていた。

ハルと連絡が取れないまま
夜も遅くなってきた。

明日、ハルのうちへ行こう。

そう決めてユキは眠りについた。
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