「ありがとう」はこっちの台詞    (記念小説②)
【碓氷】




「碓氷、いつもありがとな」



つい最近、頬を赤く染めながら、鮎沢にこんな事を言われた。

『ありがとう』って、言われることをした覚えがない。

それに、鮎沢の口からそんな言葉が出るとは・・・頭でも打ったのか?

いきなりすぎて、びっくりした。











むしろ、こっちが『ありがとう』って言いたい。












ずっと、1人ぼっちで過ごしてきた俺に、いろんな事を教えてくれた。

いつも遠回しに『好き』って言ってくれる。

何かといろいろ心配してくれる。

いつも、顔を赤く染めながら、隣にいてくれる。



こんなに俺を大切にしてくれる人に出逢ったのは初めてだ。

鮎沢に出逢えてよかった。



いつの間にか、鮎沢の傍にいることが当たり前になっていた。




どうしたら、このたくさんの想いを返せるのだろう?



『ありがとう』はこっちの台詞だ。

『ありがとう』の一言じゃ、今までの想いは返せないかもしれない・・・


でも・・・今までの感謝を込めて伝えたい・・・




『俺の方こそ、いつもありがとう』と鮎沢に伝えたい。


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