ONLOOKER


バアアアアアン、と派手な音を立てて、扉は開かれた。

悠綺高校の建物は大きい。
天井もいちいち高く、したがって、階段も長い。
その豪奢で大きな階段を駆け上がって来た勢いを少しも殺さずに開け放たれた扉は、余韻のように行ったり来たりを繰り返して、やがて止まった。

乱暴というには度が過ぎるような登場の仕方をした彼女は、長いポニーテールを風に煽られるままにしながら、鬼のような形相で仁王立ちしていた。


「こ、ここここ紅先輩おはようございます」
「おはよう聖。どうしてお前は登校してから生徒会室に顔を出しもしないでこんなところにいるのかな」
「いや、あの……こ、こいつなんですよー! なっちゃんがいきなり『ちょっと来て』とか言って引っ張ってっちゃうからもー」
「ほう……よりによってこの忙しい日にサボタージュをかましたうえにそれを友人のせいにすると……そういうわけか」
「すいませんでしたっ!」


へらへらと弁解したかと思えば変わり身早くきっちり腰を折った聖に、紅(こう)と呼ばれた女子生徒は無言で握り拳を落とした。

細腕からは想像もつかない重さだったらしく、蹲った聖が「ああ……バカになっちゃう……明日撮影なのに台詞飛んじゃう……」と呻いている。

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