ONLOOKER
「にゃあああもう無理、ひじりんパス!」
恋宵の小さな体では、支えるのも覚束ないだろう。
ヘルプがかかった聖が巨体を引き継ぐと、准乃介はわざとらしくのし掛かってきた。
「さて、ホールまで運んでもらおうかなー」
「えー無理っすよ!」
「准乃介、夕方から仕事だと言ってなかったか? 大丈夫なのか」
紅が眉尻を下げる。
夏生と聖は詳しいことは知らないが、准乃介の負傷にはきっと紅が関わっているのだろう。
もし直接的ならもっと誠心誠意謝り倒しているはずだから、あくまで間接的な関係であるには違いないが。
准乃介は、その体型と甘いマスクを活かして、ファッションモデルの仕事をしている。
その仕事に影響が出たりしないかと、心配しているのだ。
悲しげな紅の顔を見た准乃介は、にっこりと笑った。
「大丈夫だよ、そんな心配しなくても」
「本当か?」
「うん、だって、五分経ったら治るから。ほら」
そう言って自分の足で立った准乃介を見上げて、聖は「なんだよ! ちゃんと立てるんじゃないスか!」と抗議の声を上げる。
「てゆうか五分経ったら治るってどんな仕組みなんすか!?」
「んー、聖と違って鍛えてるからね」
「そーゆう問題!? じゃあ五分間だけ体重半分にしたりとかしてくださいよー」
「無理に決まってるでしょー。なに言ってんの」
「そんなの俺だってわかりませんよおおおお」