ONLOOKER


「あれ、居吹せんせー久しぶり」
「あなたが生徒会室にいるなんて……半年ぶりくらいか?」
「ちげーよ、えーと、七ヶ月と十一日ぶり」


生徒会顧問であるのは確かだ。
だが彼は、あまりにも顧問として存在感がなかった。

なにしろ彼らの活動の本拠地ともいえる生徒会室に顔を出すのは、年度始めのこの日と、あとは年に三回あれば多いほう。
生徒の自主性を重んじる、なんて口では格好良いとこを言っているが、要は生徒会活動に関しては、役員に丸投げなのだ。

紅がにこやかに、「ところで」と言う。
「ん?」と返した居吹に、ぐ、と距離を詰める。


「校内禁煙のはずだがこれは何かな、竹河先生」
「……火、点いてないし」
「そんなことはどうだっていい」
「あ、はい……」


大きな目でぎろりと睨まれた居吹は、大人しく頷いて煙草を携帯灰皿に詰め込む。
火がなくてもくわえていないと落ち着かないほどのヘビースモーカーなのだ。
口と手が淋しくなったのか、ポケットからガムを取り出しながら、苦い顔をした居吹は言った。


「んなことよりオラ、さっさとご対面だ。お二人さん」

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