ONLOOKER


「どういうことかな、さっきの」
「……言ったままです。……理由があるんです。他言は」
「しないよ。誰か知ってるの?」
「理事長と……竹河先生は」
「居吹?」


訝しげに目を細める。
直姫は捕まれたままの腕を揺らした。


「あの、離してもらえませんか」


夏生は「ああ」と呟いて、二秒間目を伏せて、考えるような素振りを見せた。
そして、手は離さないままで、目を上げる。


「……戻ってきてくれる? ちゃんと話したほうがいい」
「いや、自分は」
「なにも言わないで他言はしないでなんて、虫が良すぎるんじゃないの」
「……」
「あれ、君が納得させてよね」


そう言って振り向いた夏生の視線に、直姫は倣う。
そして思わず「え」と声を出したそこには、柱の影に隠れるようにこちらを窺う、五人の生徒会役員姿があったのだった。

< 36 / 95 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop