ONLOOKER


「漫画とかドラマで見る女子校みたいですね……」
「紅ちゃんは幼稚園から悠綺にょろ、さすがに板についてるにゃ」
「あ、そうなんですか」
「ひじぃと夏生もにょろよ? なにげに幼馴染みなのぬ」
「へえー……」


そう話しているうちに、紅が三人に気付いて、片手をあげた。
挨拶を交わすと、恋宵が彼女の肩に担がれたものに視線をやる。
長い棒のようなものだ。


「紅ちゃん、今日は弓道部のヘルプにょろ?」
「ああ。部員が揃っていないから来週の大会に出てくれないかと言われてな」
「ほええ……弓なら弓道場にあるじゃにゃい」
「あれはなんだか手に馴染まないんだ。自分の弓を持ってきた」
「紅先輩、弓道もされるんですか?」
「紅ん家は格闘道場だからねえ。剣道に柔道に空手に合気道……道がつくものならなんでもこいなんじゃない?」
「道場なんですか?」
「興味あるのか」
「空手を少しだけやってたことがあって……」


真琴が紅と話している間に、直姫は周囲をぐるりと見渡す。

未だ遠巻きに紅や准乃介を窺い見ている生徒はいるが、大半は真琴たちにちらりと視線をやって、そのまま素通りするようになっていた。
誰かと話している時は邪魔をしない、なんていうルールでもあるのだろうか。

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