ONLOOKER
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昼休み、二人がホールへ向かうと、そこにいたのは、今朝と同じ顔ぶれだけだった。
紅は苛立たしげな溜め息を吐いていて、准乃介はそれを宥めている。
恋宵はマイペースに、スタンドマイクで遊んでいた。
「あの、聖先輩と夏生先輩は」
「どうせまたサボりだっちゃー」
恋宵はそう答えると、マイクに向かって小さく歌い出した。
サボりサボり、サボテンリッター、などと聞こえる気がするが、何を言っているのかはよくわからない。
「また、って……そんなによくサボるんですか?」
「常習犯だ、あの二人は……全く、けしからんな」
「屋上じゃないのー? 最近は暇なときも忙しいときも、大抵あそこにいるし」
どうやらその頻度は彼らが呆れるほどに高いようだが、毎回二人一緒にいるわけではない上にころころと場所を変えるため、だだっ広い校内を探すよりも、戻ってくるのを待っている方が賢明らしい。
そろそろ紅が大噴火するんじゃないかと真琴がひやひやしはじめた頃、ようやく揃って現われた。