ONLOOKER
この学校じゃ一クラスじゃないですか、と青くなる真琴に、聖が眉尻を下げて笑う。
「まあ、全員処分するわけじゃないからね。でもさすがにあの時は大事件だったっすよねー。大道寺先輩が生徒会長になった頃か……中等部でも超話題になりましたもん」
「なになに、 あたし知らないにゃろ」
「恋宵は高等部からだからな……私たちが一年になった年のことだ」
その年生徒会長に就任した二年生は、少し回りを振り回すところはあったがカリスマ性に恵まれた人物だったらしい。
父親は会社経営に携わっていたが、それほど大企業というわけでもない、堅実なイメージの調理器具メーカーだった。
それが、わずかな付け入る隙だと思われたようだ。
あからさまなアプローチ――つまり、金や取引を条件に生徒会に入れてくれ、と持ち掛けた生徒がいたことが、四十人弱という人数の原因だった。
当然、そんなことは認められない。
理事の判断で、裏口取引を持ち掛けた者には相応の処分、頼み込むぐらいならば注意程度で済まそうという措置が取り決められた。
結果、名家や大企業の子供ばかりが十人以上も学校を去るという、悠綺史に残る大事件にまで発展してしまったのだった。