ONLOOKER
さて、春らしく爽やかに空が晴れ渡ったある午後、北校舎のあの部屋には、七つの人影があった。
「いー天気ですねぇ……」
穏やかな表情で雲を眺める真琴。
生徒会室の中心に置かれた長机の窓側の端、見上げれば空が眺められる席がすでに彼の定位置になっていた。
その向かいで、恋宵が箱菓子のパッケージを開封している。
「あ、これおいしいにょろ。はい、直ちゃんもどーぞ?」
『春の新作チョコレート試食会』と題して、大量に購入したチョコ菓子を、机の上に広げているのだ。
机を占領していることを紅が注意しないのは、特に進めるべき作業もないためと、彼女自身が現在、応接スペースのふかふかのソファーにすわって、かくんと舟を漕いでいるところだからであろう。
「いえ、甘いもの苦手なので」
「ええー……じゃあまこちゃん食べる?」
「はい、いただきます!」
直姫がすっぱりと断ると、恋宵は手にした箱を真琴へと差し出した。
彼も先ほどからずっと、全く変わらないペースとテンションでチョコ菓子を消化している気がする。