ONLOOKER
(テンションたっか……)
歌の上手さは申し分ないのだが、胃もたれでもやもやした気分では、ついていくのに疲れる騒ぎっぷりだ。
夏生や紅や准乃介は慣れているのかほったらかしで各々好き勝手にしているが、直姫はもはや、なぜ自分がここに居るのかさえ疑問に思えてきている。
断り切れなかったのはきっと、真琴があまりにも楽しみにしていたからだ、と思うことにした。
付き合いが悪いと思われることなど少しも気にしたりはしないが、わざわざ自分の都合を優先させて人を気落ちさせるほどは我が儘ではないつもりである。
心の中で人のせいにすることくらいは許してくれ、と思いながら、辺りに視界を移動させた。
今直姫たち七人がいるのは、裏庭のほぼ真ん中、ソメイヨシノの一番の巨木の下だ。
桜並木はこのソメイヨシノを中心に、端にいくにつれだんだんと木が低くなっている。
もともとこの木だけはよそから譲り受けたもので、他の低い木は学校創立当時に植えたらしい。
直姫は東西に伸びた並木の西側から、自分たちのいる木を見上げ、そして東側へと視線を滑らせていった。
そして一番端の、とりわけどっしりと背の低い木の辺りを見た時だった。