ONLOOKER


目が合っただけできゃあきゃあと騒ぐ女子生徒たちも、なんとか個人的に近付こうと企む男子生徒たちも、どっちもどっち、似たようなものだ。

声を聞いただけでこの反応とは、と苦笑を交わす直姫と真琴に、クラスメイトの一人が声をかけてきた。


「佐野くんと西林寺くんはいいわね、紅先輩や夏生様たちと放課後いつも一緒なんだもの」
「いつもって言っても、放課後の二時間くらいだよ?」
「それでも、役員以外入室禁止の部屋でどんなふうに過ごしてるか、気になるわ」
「ねえ、先輩たちは、生徒会室ではどんなふうなの?」
「どんなって……えーと」


尋ねられた真琴は、困ったように直姫に視線を泳がせた。
彼の眉尻の下がった困り顔は、まだ数週間の付き合いの直姫もすっかり見慣れてしまった表情だ。

だが他人事ではなく、その質問は直姫にとっても答えづらいものであることに代わりはなかった。

居眠りをしたり、夏生と聖の遅刻に苛立ったりする紅は、確かに生徒会室の外ではなかなか見られる姿ではないだろう。
だが同時に、准乃介の砂を吐くような甘い態度に、冷ややかな視線を向けたり真っ赤になって動揺したりもするなんて、そんな情報を漏らせば、後が少し怖い。

そんな准乃介はやはり紅にちょっかいを出してはかわされ、からかっては怒られる日々だ。
恋宵はいつもとなんら変わらないテンションで常にギターを抱えているし、聖は恋宵と一緒に歌っているかお茶会を開いているか、とにかく七人の中で一番口がよく動く人物であることは間違いない。

夏生の本性なんてうっかり口を滑らせようものなら、自分の立場が危うくなるどころか、学校の秩序が崩壊してしまうような気さえした。

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