ONLOOKER
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放課後、直姫と真琴が生徒会室に出向くと、他の五人はすでに顔を揃えていた。
「やっと来たの。遅い」
行儀悪くも机に腰掛けた夏生が、嫌味なほどさまになる仕草で脚を組み替える。
こんな姿は確かにここ以外では見られないだろう、と思いながらも、これを見たいという彼女らの考えは到底理解できない、とも直姫は考えた。
なにしろ、『悠綺の王子さま』である(直姫も、はじめてこの通り名を聞いた時は、不覚にも笑ってしまった)。
実際にこの本性を知れば、果たして彼女らは幻滅するのだろうか。
あのおおらかすぎるセレブ気質ならば「ワイルドなギャップで素敵!」なんて言い出しかねないとまで思って、ぞっとして考えるのをやめた。
それにしても、休み時間のあの呼び出しはなんだったのだろうか。
真琴はある程度わかっているようだったが、直姫にはさっぱり検討がつかないでいた。
用事があっても、数分でもいいから、必ず来るように、なんて、今まで言われたことはなかった。
基本的に毎日生徒会室の鍵は開くが、それほど忙しい時期ではないのもあって、顔を出すのも帰るのも自由、という適当な感じだったのだ。
訝しく思うも無表情な直姫を見て、紅が口を開く。
「早速だが、本題だ。今朝の悠スポは見たな」
直姫が動じていないようなので、真琴同様、事情を知っているものと思っているのだろう。
実際のところは顔に出ないだけで、困惑しきりなのだが。
「盗撮魔、ですか?」
「そー。そのことで、にゃ」
なにか知っているようなのに、真琴のほうが戸惑っているように見える。
相槌を打った恋宵の、その言葉を引き継ぐように、夏生が言った。