恋村

音楽器具室

朝。
雲ひとつない晴れ。
ルンルン気分でクローゼットを開ける。
楽しみだった、制服着用。
チェックのスカートが私のお気に入り。
リボンとネクタイのぢっちかが選べるけど、私はリボン。
ゆるーくヒモを伸ばして首に巻く。
赤色が私をそそる。自分に見とれるのはいつ以来だろぅ。
そっと腕を通す。
まだ新品。

階段を降りると、焼き魚のいい香りが私を包む。
お母さんがエプロンをしている。
手抜きではない。
機嫌もいい。
白米、シジミのお味噌汁、焼き魚、なっとう。
なじめない、なっとうのにおいもなぜかイイ。



私は今日から高校生になる。

あこがれの女子高生。
私の携帯も手に入った。
できれば、中3の終わりにはほしかった携帯。
でも、いいんだ、どぅせ私は高校デビューだから。

膝丈だったスカート。

ボザッとした黒髪。
めがねが手放せないわけではなかったがいつも付けていたデカメガネ。



クラスのみんあからは「ガリメガ」と呼ばれる存在。(ガリ勉メガネ)

でも、今日からは違う。
遠い学校を選び、同中はいない。
私の学校。
東陽高等学校。

私は生まれ変わる。
携帯もハヤリ風にデコった。
スカートの丈も膝上25㎝。
髪の毛もチェリーブラウンに染めた。
ひとつに縛って頭のてっぺんでむすび、おだんごちゃんに。
めがねも外してコンタクトにした。
私はもうダサ子じゃない。

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