文系男子のその後。
簀の子の上で体育館シューズに履き替え、並んだ。
特進科は最初に入るので結構入り口に近い。
ざわざわとざわめき声が波の様に扉の向こうで聞こえる。
お母さん、何処にいるかな…
静かになって、扉が開いた。
ぞろぞろと列になって歩いて行くと、異様な集団が目に付いた。
二年の列の田原と目が合うと、笑う。
久々に見る赤頭。
「…なんでいるのよ」
一番後ろの保護者席一列には、坂本、永沢、加藤、などが居た。
皆意地の悪い笑みをニヤニヤと浮かべ、あたしを見ている。
本音を言うと、竹之内に来て欲しかった…かな。
でも、今日仕事だし。
卒業生と在校生は向かい合う形で座るので、ちらちらと視界の端に映る赤頭に気が取られて、感動も何も無かった。