彼女とライブと。【完】
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18時半。ライブハウス前。
あれから俺は、兄に
意味も分からないまま急かされて、
ジャンプを買ってもらう
約束のもと会場に向かった。
「へえ。」
ライブハウスは
隠れ家みたいな感じで
地下2階にあった。
兄曰く、このライブの
3番目に出てくる
バンドが好きらしい。
しかもそのバンドの
1人と知り合いで
今日は特別楽屋にちょっと
入れさせてくれる、との事だった。
今はライブ開始30分前。
「うし。楽屋行ってみるか。」
さっきからソワソワしていた兄が
突然言い出した。
連絡は入れなくていいのか
と聞くと、
いつでも会いに来て
いいと言われたらしい。
2人で細い廊下を通り楽屋に向かった。
廊下を歩いている途中、
兄の携帯が鳴った。
兄の顔が
ひきつったところを見ると
多分バイト先だ。
ジェスチャーで
待ってろ、と言われ
どこかに消えてしまった。
あんなにバイト先の先輩は怖いと
言っていたのに。
あれは長そうだ。
ため息をついていると
微かにギターの音聞こえてきた。