いとしのポテトボーイ
先生は「奈良岡?」と声に出しながら名簿に視線を落とした。

「おお、奈良岡港人か。気分でも悪くなったのかなあ」

先生が前のドアから廊下を覗くと、

「お、此処だ此処だ。あったゾ俺たちの教室」

男の子が2人入って来た。

「うわァ・・・」

真希チャンが呻くような歓声を上げた。

わたしも思わず声を出しそうになった。

だって。

「奈津美、見た見た?」

真希チャンがわたしを振り返って目をパチパチさせた。

見たよ。

今までに見たことのない、超美形の男の子が2人。

制服のネクタイをルーズに締めた、髪を立たせているほうの子が、

「教室の場所、わかんなくなっちゃって。スンマセン」

と言って頭をかいた。

もう1人の子はポケットに両手を突っ込んだまま、先生にペコリと頭を下げた。

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