いとしのポテトボーイ
「だけどボロボロじゃねえか。これで満足なのかよ? こんな目に合わされて、これがオマエの言う報復かよ? 笑わせんな」

「じゃあどうすれば良かったんだよ。泣き寝入りしろってことかよ」

「・・・俺がケリ、つけてやるよ。だから奈津美つれて帰ってくれ」

「奈津美?」
 
安土クンはその時初めてわたしの姿に気が付いたみたいだった。

「なんで奈津美なんか連れて来た? 何考えてんだよオマエはッ」

安土クンが今までの中で一番感情的な言い方をした。

「・・・悪い。止められなかった」

雪沢クンはそんなふうに答えた。
 
違う。

わたしが勝手について来ただけなの。

そう言いたかったけれど、等々力センパイに殴られた痛みと恐怖で声が出なかった。

「奈津美に、等々力サンや愛子と同じ思いをさせるところだったんだぞ」

雪沢クンがわけのわからないことを言った。

「等々力サンに許可をもらったから、早く奈津美をつれて消えろ!」

雪沢クンが怒鳴った。
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