いとしのポテトボーイ
安土クンが辞めてから、わたしは何度か安土クンや奈良岡クンや愛子チャンの悪口を聞くようになった。

今朝も、隣のクラスの子たちが、中学時代の安土クンたちのことを話していた。

教室で堂々とタバコを吸ったり、時にはシンナーを吸っていたこともあったとか。

恐喝はする。
喧嘩はする。
目が合ったと言っては善良な生徒を殴る。
同級生なのに「おはようございます」と挨拶をさせる。
数えればキリがないほどの悪行を、今となっては懐かしい思い出話のように、面白そうに喋っている彼ら。

彼らの中の誰かが、きっと安土クンたちと同じ西山中学の出身者なんだ。

「ヒドい人たちね」

A組の副室長である平山サンが、本当に悪いものを見るような口調で言った。

わたしのいるB組と隣のA組は、体育と家庭科の授業を共にするため、女子のことだけは少し分かっている。
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